尊敬する人物、それはお客様です。
Q.今のお仕事を始めたきっかけは何ですか?
元々明治始めの頃からここで商売をしてきまして、私で四代目になります。
始めは料理屋、二代目と三代目は魚屋、自分の代でまた料理屋になりました。
始めた時に新城から出てきましたので、「新城」と「浜松」で「新浜屋」という名前です。
昔は魚屋で結婚式をすることもありましたので、宴会場があったり仕出しもしていたんですね。
今から6年前に後を継ぐ際にひらがなで「割烹しんはま」に変わりました。
Q.その前は修業をされていたのですか?
高校卒業後、京都の調理師学校に通い、10年間京都で修業しました。
その後浜松に戻り、千歳町の和食店に入りました。
17年勤務した後に、実家を改装して引き継ぎました。
Q.一番苦労したことは何ですか?
おかげさまでずっと前からの商売ですので、地域で知ってくださっている方も大勢いらっしゃいますし、地域密着でやってきましたので、大きく苦労したという事もなくやらせてもらっています。
今でも祖父が魚屋時代に御用聞きに行っていたお客様や、両親の時代のお客様も来てくださっています。
Q.やりがいを感じることは何ですか?
オープンの際に、宣伝広告やダイレクトメールなど何もしなかったんですが、それでも風のうわさを聞きつけてお客様が結構来てくれたんです。
「言ってくれればいいのに!」と言ってくれて。それが逆によかったです。
Q.長く続けて来られたと思いますが、成功のポイントは何でしょうか?
代々言われてきたことは、「無理をするな。できる範囲でやれ」という事です。
背伸びをしないことです。背伸びをしてもいいことは何もない、それが一番ですね。
Q.経営する上でやってはいけないことは何ですか?
ダメなものを出してしまう事ですね。駄目なものはやめておかないといけないです。
「まぁいいか。」で出すのが一番いけないことです。そうやって出して大変なことになってしまうのもよくある話ですね。
料理長にも言っていることですが、「まぁいいかと思ったら、それはやめておきなさい」とういうことです。
そういう時には正直にダメですと言いなさいと言っています。
お客様が「カツオがほしい」と言っても「今日のは悪いからやめておきましょう。次にしましょう」という時もあります。
「どうしよう」と迷ったらやめる。そして「ごめんなさい」と言う。それが大事ですね。
最近のお客様は舌も肥えているので、その場で言わないんです。一歩外に出たら「今日の店はイマイチだったね」って言うんです。で、もう来ない。
昔からのお客様は、その場で言ってくれます。言ってくれる方は店のことを思ってくれている人です。
多くの方は帰られてから仰るので、そうならないようにダメなものはダメとはっきり言うんです。勇気は要りますけどね。
Q.尊敬する人物はいますか?
お客様ですね。お客様はみんなすごい。お客様に大きくしてもらっていると思います。
いろいろなお客様が来て、話をさせて頂き私も成長できています。
最初のお店は料亭だったのでお客様との接点がなかったんですが、前のお店にいた時はカウンターに立っていました。
色々なお客様が来てくれていましたね。学ぶことも多く、お客様を一番尊敬しています。
お客様が何でも教えれくれるので、大事にしています。
お客様から給料をもらっているわけですから、料理に嘘は付けないし大事にしないといけない。
そうしていけば、お客様も自分をバックアップしてくれるし、教えてくれます。
Q.これからどんなお店にしていきたいですか?
積極的に「あと何店舗出したい!」というのは無いのですが、いつでも準備ができるようにしています。
周りがそうしてくれた時に、すぐ動けるように準備はいつでもしておきたいと思います。
「もう一店舗出したい!」ばかりだとなかなかうまくいきませんが、いつでもチャンスはあります。
誰でもチャンスはあるけど、それを掴めるか掴めないかです。
そういう時に捕まえられるように準備をしておきなさいという事です。これもお客様に教えてもらった事です。
必ずチャンスはあるが、ダメな人は掴めない。準備をしていなかったり、掴む気もなかったり。
準備さえしておけば、必ず掴める時が来るんです。
動けないときに無理やりやったらきっと駄目になってしまうので、しっかり準備することが大事なんです。
Q.これを読んでいる次代の経営者に一言お願いします。
お客様が第一です。
あまり我を通すのではなくて、ある程度の柔軟性をもっていた方がいいです。
昔のように「俺の料理が食えねぇのか!」という時代ではありませんので。
お客様の要望には柔軟に対応してあげないといけないと思います。
店舗も増えて、競争になりますから。
以前、街中では集客のある場所は家賃が高いという傾向がありましたが、最近はそうも言えない時代です。
郊外でも流行っているお店もあります。
若い従業員にも言っていますが、街中にしなくてもやる気さえあれば場所は関係なくお客様はちゃんと来ます。
割烹しんはま
静岡県浜松市中区中沢町67-12JR 東海道本線 浜松駅バスターミナル13番乗り場[50・53・56]系統または14番乗り場[8・51]系統 「常楽寺」下車、徒歩約3分
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