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地域の皆様に育てて頂いたからこそお店があり、
自分があるのだと感謝の気持ちを忘れない事

Q.今のお仕事を始めたきっかけはなんですか?

お店は私が小学校2年生の時に父が立ち上げました。
子供の頃は休みの日に家族で出かけた記憶もなく、父はただ一生懸命働いていました。

そんな父を見て私は、ケーキ屋さんは大変な仕事なんだと思っていましたね。
やっぱりクリスマスの時などは手伝いをしていましたよ。

みなさんお店をやっている家はそうだと思いますが、特にご長男さんですと跡を継ぐようにと事あるごとに言われると思うんです。
私もやはり周りからそのように言われて、跡を継ぐのだと思ってはいました。

学生時代はバイトを探すにしても、当時は景気が良かったせいもあってお給料のいいバイトは沢山ありましたが、私は厨房の仕事や食品関係の仕事しか目に入ってこなかったですね。
専門学校も製菓の学校に行きましたし、そういった流れで自然に製菓の業界に入っていきました。

卒業と同時に他のお店へ修行に行くつもりでしたが、たまたまお店で勤めていたスタッフさんが辞められて、父の店の作り手が足りないということで帰って来たんです。

自分の家で働くことになった訳ですが、子どもの頃から手伝いをしていましたので新鮮な気持ちはなかったですね(笑)
ただ手伝いではなく仕事として取り組むにあたっては、当然違いはありましたね。

親子で働く事での衝突もありました。
お互いに気遣いや遠慮はありませんので。

1年くらいですが、家の洋菓子店の仕事を辞めて他の仕事をしたこともあります。
ただ、どこかに勤めて定年を迎える事と家で働いていく事とそれほど違いが無いことに気づいて戻りましたね。
その時は親に頭を下げて戻りました。

Q.今はお父様よりお店を継いでいらっしゃいますが、引き継ぐ際はどんな状況でしたか?

自分の家で修業していたことで、若い時から色々な取引先の会議や業者の集まりにお店の名前を背負って行っていましたので、周りも跡継ぎとして接してくれました。

そういった所でスムーズではありましたね。

Q.このお仕事をされていて大変だった事は何ですか?

世間一般的に(こういう仕事は)土日は休みではないので、若い時は友達が集まったりした時に自分は行けず不満に思う事もありましたね。

この仕事は外から見るよりも華やかではない世界です。
どんな仕事でもそうだと思いますが、外と内とのギャップは激しい業界だと思います。

Q.このお仕事をされていてよかったなと思う点はなんですか?

作ったものをお客様に食べてもらって、次に来た時に「この間のケーキ美味しかったよ!」と声を掛けて頂けると嬉しいですね。

外出先なんかでも、職業を聞かれた際にウィーン洋菓子店とお伝えすると「私、ウィーンさんのケーキ好きですよ!」と言って頂くことありました。

お客様に喜んで頂けるとやりがいを感じますよね。

Q.今度どのようなお店にしていきたいですか?

昔から美味しいと言われているものは変わらないと思うんですね。

ただ、「うちはこれしかやりません」というのも大切だと思いますけど、それだけではどうしても立ちいかなくなってしまうと思いますので、良いものを残しつつも時代に合ったものを融合させて上手くやっていきたいです。

そういった意味では、アンテナを伸ばしていきたいと思います。

Q.これを読んでくれている次代の経営者に一言お願いします。

菓子屋さんは菓子屋さんのことだけを考えていればいいという時代ではないと思うんですよ。
色んな業種の人と知り合いになる機会があれば、そこに行って色々な話を聞くことも大事だと思いますね。

私の場合は、親が商売を始めてくれていました。
お店を引き継ぐ2代目3代目というのは、地域とのつながりを持って仕事を始めることが出来ますので凄く有難いことだと私は思います。

もし同じ境遇で悩まれている方がいらっしゃったら、お店を継がなくてはいけないと重荷に捉えずに、地域の皆様に育てて頂いたからこそお店があり自分があるのだと感謝の気持ちを持って、次は自分が地域にお返しする番だと考えてみるのもいいかと思いますね。

嫌でなければ、お店を絶やさない努力をするということも大切です。
やっぱり地域に愛されてこそ50年100年とお店は続くのだと思います。

ウィーン洋菓子店
静岡県浜松市東区天王町1521-1
JR東海道本線 浜松駅バスターミナル10番乗り場[73or75]系統「天王」下車、徒歩2分
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