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所詮居酒屋という言葉をいい意味で伝えたい

Q.今の仕事を始めたきっかけは何ですか?

元々は飲食業という調理の仕事には興味は無かったんです。
特にやりたい事もないまま高校を卒業して、京都の大学へ行きました。

その頃ショットバーブームがあったんですが、当時先輩に連れて行ってもらった時に『バーテンダーになりたい!』と思ったんです。
それがきっかけでバーテンダーのアルバイトを探して何軒か面接を受けたんですが、なかなか採用してもらえませんでした。

そんな時、あるバーへ飲みに行った際その場で面接をしていただいて、そこでようやく条件付きでしたが採用してもらえました。
その条件は、オーナーさんが今度新しく飲食店を始めるので、その新しいお店で1ヶ月だけアルバイトをしてもらいたい、というものでした。

「まぁ1ヶ月ならいいか。」という思いで始めましたが、そのうち人手が足りなくなり抜けるに抜けられなくなってしまったんです。
その当時料理は出来なかったんですが、続けているうちにすこしずつ出来るようになり、料理補助という形でやらせてもらう事になりました。

それがきっかけで料理が楽しいと思う様になったんです。
そのままその店でアルバイトを続けまして、結果的にですが学校を辞めて正式に社員になり料理の道に入りました。

元々料理の世界に興味が無かっただけに逆に新鮮だったというか、驚きがあったんですね。
普段食べている料理が、色々な食材と食材の組み合わせで味や香りが変わるという事を知ることが出来ましたし、今までがメリハリのない生活をしていた中で厳しい世界を知ることが出来てそれが新鮮でした。

大体みんな経験していると思いますが、社会人になると言い訳が通用しなくなるという事がわかりましたね。
当時の店長さんが大変几帳面な方だったので、その頃は自分のだらしなさをかなり怒られました。
おかげでそれで直った所も多くあると思います。

Q.自分自身での独立を考えたのはいつ頃ですか?

働き始めたのは20歳だったんですが、仕事が慣れてきた20代半ば位から朧げながら考えていました。
ハッキリしたのは、27歳くらいの時で結婚が転機でした。
妻も飲食業をずっとしてきた人でしたので『将来2人で店をやりたい』という思いがあって、自分の店を持ちたいという気持ちが具体的になったと思います。

自分1人だと何となくで「いつかやろうかな」という感じだったんですけど、2人になった時点でもうやる方向で人生設計を考え始めました。

Q.何故この浜松で商売をしようと思ったのですか?

結婚したのは京都で、それからしばらくは京都に住んでいました。
ただ独立するに当たっては独立資金が必要だったのでまず資金を貯めようと頑張りました。
ですが、家賃を払いながらだと中々資金を貯められなかったんです。

そこで、資金を貯めるためにどちらかの実家に住んで家賃を節約しようと考えました。
僕の出身は福井県、妻の出身がこの浜松だったんです。

福井県の僕の実家は田舎なので商売をするには向いていませんでしたし、妻のご両親も高齢になってきていた事もあって、浜松へ来て妻の実家に住ませて頂いて、その間に開店資金を貯めました。

Q.オープンを迎えて最初はどうでしたか?

大きなトラブルは無かったですが、最初はバタバタはしていました。
それでも比較的穏やかにいけたんではないかと思います。

性格的に慎重な所がありますので結構準備に時間をかけてきました。
物件はすぐ見つかりほぼそのまま使う事が出来たのですが、トイレが1つしなくて女性用が別に必要だと思ったので、トイレを1つ増やし

私が入る前からこの店を知っている人からすると、ほとんど変わってない様に見えるかもしれませんが、見えない所で時間がかかっているんですよ。

Q.お店を始めて良かったと思う事はどんなことですか?

ありきたりな事を言えば、「お客様の喜ぶ顔が直接見れていい」ということなんですが、これは飲食業をやってきていたので既に知っていました。

自分が店を持ってわかった事というのは、厳しさを感じることで人間として成長することが出来たことですね。
言い訳も文句を言えなくなったので、前向きになりましたし、良くても悪くても前を向くしかないと思えるようになりました。

Q.経営のモチベーションはなんですか?

お客様がお帰りの際に「美味しかったよ」と言って頂けることもそうですが、実際に楽しんでいらっしゃる姿を見ることが嬉しいですね。
楽しんでいるその顔を見れたら自分がいい仕事をしたなと思えますし、やっぱりそれが一番だなと思います。

逆に反省する時もあります。
調理が1人なので料理を出すのが遅くなってしまう時があります。
考え過ぎても仕方が無いかもしれませんが、やっぱり心の中に残りますね。

Q.お店をやる上で一番大変だと思う事は何ですか?

やはりお金の面とあとは自分の気持ちと体力です。
暇な時が続いたりすると、ダメなのかな?と思ってしまう時もあります。
それを乗り越えられるかどうかという事ですね。

これは正解が無いというのが怖いなとは思います。
何回も岐路に立って進むべきなのか?一歩下がるべきなのか?という判断をする時に決めるのは自分であって、誰も決めてくれない。
何が正解かもわからないという中で、決めなければならない時は辛いですね。

ただ、それも含めて自分自身が成長できます。
正しくても間違っていても決めなければならないので、それは試練ではありますけど学びになります。
それを乗り越えれば人として成長できると思っています。

Q.今後のお店をどうしていきたいですか?

料理人の中には、料理は温かいうちに食べてもらいたいとか冷たいうちに食べてもらいたいとか、何も付けずに食べてもらいたいという人もいると思います。
うちはあくまで居酒屋なので、お客様の自由にしてもらったらいいと思っています。

僕がお客としてきた時には、例えば料理を食べたくて来る時もあれば、久しぶりに会う人と話がしたいとか、その時間を楽しみたくて来る時もあって、注文するのが後になってしまったり、料理に手がつかなかったりする時もあります。
そういった場面も理解できますので、作る側としてはベストな状態で出すという感じではありますが、お客様の好きなタイミングで食べて頂いて、何よりその時間を楽しんでもらえるのであれば、それがその料理の食べ頃なのかなと思います。

料理は脇役という位のつもりですけど、作る方の気持ちとしてはベストな状態で出す、という感じです。
あまり窮まって来られる場所ではないので、所詮居酒屋という言葉をいい意味で伝えたいです。

当店の売りとしては、豚のモツ料理と生のお酒をコンセプトに始めて、「焼きとん」という豚の串焼きをメインで定番で置いていたんですが、長いことやっているともう少し他の料理にも力を入れてほしいという要望が高まってきたんです。

なので、「焼きとん」をやめようかとも考えましたが、根強いファンのお客様がいてくださるので、今は「焼きとんの日」を設け、月に6日間限定で新鮮な豚モツを一頭分仕入れてそれを店で捌いて豚モツ中心のメニューを串にして出しています。
もう1つの当店の売りである「生のお酒」は、無濾過生原酒といって作ってそのままのお酒です。
これはずっとこだわりというか自分が好きで扱っています。
酒蔵で絞ったものをそのまま飲むようなお酒ですね。

一般的なお酒というのは2回加熱して活性炭して、濾過したり安定させたりして販売されていますが、それを全くしていないお酒っていうのは、飲みやすいし個性があります。

私はお酒造りが凄く面白くて好きなんですよ。
酒造りがわかると、料理を始めたきっかけと同じで、こういった仕組みでこうなるんだという過程や工程が楽しいので深いと思いますね。

実は子供の頃は学者になりたかったんですよ。
勉強はあまり得意ではなかったんですが、自分から図鑑を読んだり、難しい本や宇宙など興味がある事はすごく好きだったんです。特に仕組みとかが小さい頃から好きでしたね。

Q.これを読んでくれている次代の経営者さんにアドバイスをお願いします。

本当にやりたかったらやった方がいいし、やりたくないならなるべきでないと思います。
世の中答えが1つではないので、現時点で後悔しない事を選んだ方がいいです。

やらなくて後悔する位ならやって後悔する方がいいと思います。
私は答えが1つじゃないという考えが常にあります。

皆がみんな独立するのがいい訳ではないですし、独立しなくて雇われるのがいいかと言えばどちらとも言えないですし。
難しいところでもあって答えが無い、でもその答えの無さが楽しくもあります。
そこで、迷ったら最後は自分に聞いてみて下さい。

常に立ち止まって自分に聞いてみることです。
そうしたら何があっても言い訳しないし後悔もしないと思います。

居酒屋きんかん
静岡県浜松市中区鴨江3-68-8
東海道本線 浜松駅バスターミナル3番乗り場 9系統「根上り松」下車 徒歩約3分
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