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美容師のなり手は多いが、理容師は本当に少ない。

Q.今のお仕事を始めたきっかけは何ですか?

元は父がやっていたのを継いだ形になります。
当時は専門学校に行きながら、お店で修業をする場合が多かったんです。

浜松市内の理容店で6年、かつらの扱いのあるお店で2年修行しました。
その後、23歳の時に実家のお店に入りました。その際に自宅兼店舗をリフォームしまして、父と一緒に始めて約30年前に引き継ぎをしました。

Q.一番苦労した点は何ですか?

当時は時代背景として、安い床屋さんが出始めましたので、床屋さん絶頂期からだんだん右肩下がりになってきたタイミングだったんですね。

昔は忙しくて何人も開店待ちをしている状況だったのですが、今は下火になってお客様も減ってきている状態です。
昔からやっているお店は儲かっているところも多いので借金もない所が多いかと思います。

父の場合はあまり欲もなかったので、借金もなかったですが建物も古くなっていました。
そこで、自分が戻ってきたタイミングでリフォームしたんですが、床屋さんが絶頂期から下がり始めた時だったので中々借金を返すのが大変でしたね。

自分の場合は2年間修行でかつらの勉強をさせてもらったので、一般の理容とかつらの両方が出来て本当に役に立っています。

Q.かつらのご相談も多いんでしょうか?

県西部からは多くのお問い合わせがあります。
ホームページなどで、静岡市から来てくれる方もいます。

Q.やりがいを感じるときはどんな時ですか?

お客様が「気持ちよくなった」「すっきりした」と喜んでくれたときですね。
かつらのお客様には、抗がん剤治療などで髪の毛が全て抜けてしまった方もいるんです。

そういう方は心の底からがっかりしてしまう方もいらっしゃるのですが、かつらを利用することで「これなら分からないね」「よかった」とニコニコして帰ってくれる時は嬉しいですね。

Q.かつらの扱いをする上で気を遣っていることは何ですか?

かつらのご相談のお客様が、他の一般理容のお客様と接しないようにしています。
秘密厳守ですので。入り口を別にしていますし、誰とも会わなくてもいいようになっています。

Q.経営の上でやってはいけないことは何でしょうか?

お客様が満足できない事、いい加減な事です。
やるからには真剣に、手を抜かないようにと心がけています。

Q.県西部からかつらのご相談も多いとの事ですが、そこまでになった、そしてそれを長く続けられるポイントは何でしょうか?

やはり値段ですね。

大手メーカーに頼むと40~60万円くらいしてしまうのですが、当店ではよりいいものを低価格・低コストで提供しています。
よりいいものをより安く、お客様の事を思って接することが重要です。

初めてのお客様は、「かつらのことは分からない」「本当に大丈夫なのか」というお客様がほとんどです。
そういう方に対して、価格はお手頃で大手さんのものと同じ品質ですよと、しっかり説明をしてアドバイスすることを心掛けています。

大手メーカーの物も1つは買えるんです。
ただ、古くなって2回目3回目となると、また何十万円もかかることになってしまいます。
そういう面でも、低価格でやっていけることでリピーターになってくれる方も多いです。

Q.修理なども可能なのでしょうか?

あまりに古いものは使い捨ての物もありますが、当店で扱っているものは修理可能ですので、買うよりも安く修理して新品同様に出来ますし他社さんのものも修理します。

高いものを買ってしまうと、なかなか捨てられませんからね(笑)
そうすると次に新品を買う時には当店で、となってくれます。

Q.尊敬する人物はいますか?

修業時代の先生です。2人いるのですが、当時の教訓は大きいですね。

最初のお店の先生は、常に地味で派手なところはありませんでした。
こういう業界では派手にしすぎるといけない。いつか破たんしてしまうから、と教えてくださいました。

2人目の先生は、「安い物ばかり食べてはいけない。たまにはいい物も食べなさい。そうすればその良さが分かるから。」という事を教えて下さいました。
洋服でも、安い物だとほとんど着なかったりしますけど、高い服はしっかり来ますよね?
それと同じで高いもの、良いものをしっかり分かっておきなさいという事です。

安い床屋さんも多いですが、そんな中でたまに理容店に行くとやはり違いが分かります。なので、それに恥じない仕事をしないといけないな、という気持ちです。
シャンプーなどもある程度良いものを使うようにしないといけませんし、タオルなども1回づつ洗濯するなど清潔感にも気を遣っています。

Q.これを読んでいる次代の経営者に一言お願いします。

これからは大変な時代になります。
なので常に先を見て、どういう経営方針にしたらいいかというのを考えていかなくてはいけないと思います。

理容業に関して言えることは、いまは「団塊の世代」の理容師や美容師が多いんです。
美容師はなり手も多いんですが、理容師は本当に少ない。年に2人とか3人位なんです。

これから先は床屋さん自体が少なくなり、安いところも減っていきます。
そういう所は、だんだんと経営の形も変わってくると思います。
70~80代の理容師さんが多くなってきている現状もあります。

例えば、近所の町内でも5件あったのが2件まで減ってしまっています。
そういう中で、「自分は床屋さんでないとだめだ」と頑張って来た人は強いと思います。

旨味もないからサラリーマンになった方がいい、と子どもに継がせないという事もあるくらいなのです。
ですが、お客様はいなくなりませんから、そこをどう打開してやっていくかという事は、考えたら面白いと思いますよ。

間違いなく大変な時代ですから、一般の理容だけでは苦しいかもしれないです。
プラスαで何か付加で出来るサービスが必要だと思います。

カットサロン和光
静岡県浜松市中区中沢町13-6
遠州鉄道 八幡駅より834m/徒歩10分
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