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人と同じ答えの出し方をする必要は全然無い

Q.この仕事を始めたきっかけは何ですか?

単純に「魚」が好きだったんです。
最初は魚屋でした。飲食業に入ったのは今から約20年前の20歳の時で、お寿司屋からのスタートでした。

2014年に植松に寿司店を出店して1年営業しましたが、2016年の2月に居酒屋として移転オープンする事にしました。
居酒屋をやるのはこの店が初めてだったんですが、寿司屋って構えてしまうと「お客さん」にとっても「店側」にとってもどうしても敷居が高くなってしまうイメージがあるんです。

今これだけ魚離れが進んでいて、先入観だけで魚が好きじゃないとか、ちょっと高いというイメージを持っている人も結構多いんですよ。
だからこそ居酒屋で魚も寿司も食べれて大手さん程リーズナブルとは言えないかもしれませんが、それなりのものをそれなりの低価格で提供できるお店にしたいと思って始めたんです。

現在ようやく10ケ月経ちまして、年を越したら1年経つんですけどおかげさまで何とかやっていけてます。
ありがたい事でお客さんがいっぱい入ってくれてる時によく「儲かってるでしょ?」って言われるんですけど、そんな簡単なものではないですね。

食材へのこだわりもあるので、とにかく安いだけではなくて満足のいく食材を使って料理を提供したいんです。
毎朝仕入をしに市場にも行きますし、研究のために同業の仲間と築地等の他の市場を見に行ったりすることもあります。
勉強にもなりますし、大変刺激になります。

Q.外にかかっている「肉ばっか喰ってんじゃねぇよ、魚喰おうぜ!」という垂れ幕はインパクトが大きいですね!

よく言われますね。そうは言ってももちろん肉料理もあるんですけどね。

こだわりの魚料理を食べてもらいたいと思い提供していますので、魚を食べたくて求めて来てくれるお客さんが多いです。
実際魚を求めて来てくださるお客さんて50・60代のお客さんが多いんですよ。
逆に20代の若い方達はこういった個人の大将のやる居酒屋にはちょっと入りにくいのかなと思います。

今後は20~40代のお客さんでももっと入りやすいお店にしていきたいと思っていますが、まだお店としては1年も経ってない中で認知も足りていないとは実感しています。
それでも看板だけ見て「魚を食わせようとする店」があると知ってくれてる人もいると思います。

どこまで今のままでいけるのか?という思いはありますが、今後の課題としてよく見極めていきます。
何をやるにしても単発でやるのは簡単ですが、やり続けないと意味がないと思っていますのでよく考えてやっていきます。
今はとにかくいつも来てくれてる常連さんを大事にしたいですね。

また、この世の中の外食・外飲みの頻度は明らかに減っています。
特にこの店のように新しく出店した所は初めて来た際の印象・イメージが大事で、そこで嫌だと感じさせてしまったら多分もう来て頂けないと思います。

逆に満足してもらえれば知り合いを連れてまた来てくださるかもしれないんです。
例えばお客さんがいつも行っているお店が3軒あったとしたら、その3軒にどうやったら入れてもらえるか?を常に考えています。

Q.一番苦労されたことはなんですか?

苦労というか自分の店を始めて、改めて1人では何もできないという事を実感しましたね。

昔、それなりの会社で飲食チェーン店の店長をやっていたんですが、スタッフや業者さんにも偉そうな事を言っていました。
でも、その時は会社があって自分があったんです。
会社の名前が無くなったとたん何もないただの人だな、と思いました。
周りには誰もいなかったんです。それはやっぱり辛かったですね。

自分で始めてからは、アルバイトの面接から納品に来る業者さん、色んなセールスにしても全て大将である自分の所に来ます。
例えば、納品に来てくれている業者さんもお店の人に偉そうな態度をされたり理不尽な事を言われたとしても、ある程度我慢して仕事されてると思いますが、結局は対人間なので心のどこかで「何であんな事言われなきゃいけないんだろう。」って絶対感じてしまうと思うんです。
そんな思いをしたらお客としてもそのお店には行きたいと思いませんよね。

所詮自分はお客さんやスタッフ、業者さんに担ぎ上げてもらって「大将」になるので、本当皆さまあっての自分だと思いますし、力を借りないとお店は出来ないと思っています。
今までの経験と色々な方と接することで大人にしてもらったと実感しています。

Q.これから起業される若者へ向けたメッセージを一言お願いします。

若い人がお店をやりたいと思った時に、先入観で「店を始めるという事は意外と簡単なんじゃないか?」と思えてしまう事があります。

「バー」とか「居酒屋」、「スナック」何でも同じですが、水商売と呼ばれる部類のお店のスタッフさんはお客さん側からしたらみんな輝いて見えるんですよね。
大将やスタッフが楽しそうだったり活気があったり、またお客さんがいっぱい入ってにぎやかで「物凄い儲かってる」とか「気楽な商売」だと思わせるのも実はお店の努力なんですよ。

だからそのイメージだけでやり始めてしまっては大変な事になります。
実際に店を始めようと考えたら借り入れをしたり自己資金を貯めたりと大変な事はたくさんありますし、スタッフや業者さん、助けてくれる仲間を集めたり、その上でお客さんを集客しなければならないので物凄く大変な事ばかりです。
そういった面をよく理解して、自分一人ではなくてちゃんと色々な人の力を借りながらやってください。

自分は何かやりたいと思うならどんどんやるべきだと思っています。失敗を恐れてやらずして後悔するならやるべきです。
若い内なら取返しはつきます。それは歳がいく程大変にはなりますが身体が動くうちはいつまででも挑戦出来ると思っています。
色々な人の意見もあると思いますが、人と同じ答えの出し方をする必要は全然無いのです。
自分なりの答えの出し方で是非挑戦してみて下さい。

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